蓄膿症 抗生剤
2017/03/05
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)は細菌の感染が原因ですが、抗菌薬(抗生物質)を使っても副鼻腔にたまった膿の中まではなかなか行き渡りません。
ここで紹介する研究は、慢性副鼻腔炎に対して抗菌薬の効果を調べたこれまでの研究にどんなものがあるかを調べ、報告されている結果をまとめたものです。研究班は、新しいもので2015年までの文献データベースから関係する研究を検索して収集しました。
一定の基準を満たした5件の研究が見つかりました。ですが見つかった5件のうち、効果があることを示す明らかなデータが出ていたのは1件だけでした。
その1件は鼻茸(鼻ポリープ)の症状がない人だけを対象にマクロライド系抗菌薬で治療したもので、慢性副鼻腔炎の症状を質問票で評価するSNOT-20スコアについて次の結果が出ていました。
マクロライド系抗菌薬を使った人では、3か月の治療後に症状のスコアが改善していましたが、治療をやめて3か月の時点では効果が確かめられませんでした。1件の研究結果で多少の効果が見られたものの、結論として研究班は「慢性副鼻腔炎の患者に抗菌薬の全身使用が有効とする根拠は非常に少なかった」とまとめています。
抗菌薬の副作用については、胃腸障害とアレルギー反応の報告がありました。治療後3か月には差があるかどうかははっきりしなかった。
3か月の治療終了時に、SNOT-20スコアはマクロライド系抗菌薬治療を受けた群で偽薬群よりも低く(平均差-0.54ポイント、95%信頼区間-0.98から-0.10)、抗菌薬を優位とする中等度の効果量に相当した(中等度の質のエビデンス)。その中で抗菌薬を最初に試してみるべきとは言えないかもしれません。